Tuesday, August 14, 2007

16 Brocks

全然落ち着いて映画を見る時間が取れないんだけど、その中でまたなんで今頃になって「16ブロック」なのと自問自答したくなるんだけど、答えは「なんとなく」というしかないわけで、まぁ、そんなことは置いておいて映画について書こう。舞台は、映画の中でも実際にも、もう散々見慣れたというか見ただけでそこの匂いが鼻に上ってくるほどのNYCのダウンタウン界隈。つまり、そうそう簡単に「絵」としてのよさを感じないはずなのだが、この映画は、車道上からのNYCの渋滞とか、ちょっと観光客には入りづらい地元のバーとか、人であふれて歩けない歩道とか、せまっ苦しいアパートとか、そのあたりを随分うまく撮影しているなと思う。現像の具合もちょっと濃い目でいい味だ。物語はとてもシンプルで、あとは脚本が頑張りなさいというような設定。だけど、その脚本も無駄は少なくて秀逸とは言えないが苦労のあとは見て取れる。飲まなきゃやってらんねーへろへろの刑事が正義に目覚めて頑張る。ただそれだけっていうのが気持ちいい。しかし、バスってホントにあんなに馬力あるのかな。どんがらどっかーんっとパトカーとかなぎ倒して行くんだけど、どうも実感が湧かないのは僕だけだろうか。「俺はいいやつじゃない。ろくなモンじゃない。」いいせりふだ。さて、まるでずーっとラップしているようなモス・デフは最高だね。ずっとなまった感じの声で通してるのを聞いていて、全然違う映画だけど、ジム・ジャーニッシュの「ダウン・バイ・ロー」で最高だったロベルト・ベニーニ(もちろん彼は「ライフ・イズ・ビューティフル」で最高の演技を見せてくれた)を思い出したわけだけど、僕は彼が純助演だと思ってる。同じく助演扱いのデヴィッド・モースは、これまでの印象としてどっちかと言うとアメリカの良心みたいなイメージだったけど、こういうワル役も出来るのねって感じなんだけど、やっぱ主役級じゃない役者なんだなぁってことがこの映画を見るとハッキリする感じがした。つまり「はい。あなたの番です。演じ切ってもいいよ」という場面での演技が弱い。というか物足りない。というか記憶に残らないわけ。じゃぁ、ブルース・ウィルスはどうなんだってことだけど彼はすでに独自の存在感を身に着けてている。ただ、代えのない存在感があるからと言って、それが主役を演じていいというわけでもない。そもそもどんな役柄でも演じきるブラッド・ピットみたいな天才とは全然違って、自分が映えるポジションを彼は彼自身で作ったといえる。だって、いまだにブルースと言えばダイハードですよ。自身もまだ続編に出るぐらいだしね。つまりそれはショーン・コネリーがボンドからの脱却に命をかけたみたいに、どんな役でも演じきるという覚悟が出来てないってことだろう。なーんか、この映画を見ている最中に、そういうことがアタマを過ぎる。ってことはこの映画、僕をずごーんと物語に引き込んで掴みっぱなしには出来なかったようだ。それから公開版のラストシーンよりも、絶対もうひとつのラストのほうがイイ。というかなんでこっちを選ばなかったのか。どうしてアメリカ映画ではヒーローは死んじゃいけないのか、僕にはさっぱりわかりません。公開版のエンディングは、もうステロタイプな、「泣ける」っていうハッピーエンドでしかなく結局この映画が何を描こうとしたのかさえわからなくしているようにも思えるのは僕だけかな。

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