Saturday, January 07, 2006

SAHARA

話題作だというので観たが、これだけお金かけてこれデスカ…という感じ。いやはや「三流とは」を学ばされた気がする。そう思わせるのはペネロペの大根役者ぶりが際立つからだろうか。「BLOW」では悪くなかったと思ったのはジョニー・ディップの力量によるものだったようだ。とにかくこの映画での彼女は最悪。さらにそう思えば、この映画はストーリー展開も脚本も映像も、すべてがどこかステロタイプで大げさ。まるで過去の様々な映画のクリッピング集に思えてしまって興ざめの連続だった。自分たちが携わるデザインの世界でも同じなのだが、色々なアイデアを盛り込むのは楽しいのだ。だが盛り込んだだけでは駄目で、練りこみが足りないと、結局見終わった時に「なんだっけ」という事になる。ましてやこの映画、物語として今日現在という舞台設定なのだから、その描こうとする物語のありえない夢物語に幾らかでもリアリティを持たせないと見るに耐えないのは必至。まさにその点への努力がまったく足りないと言える。まるで昔の「007 死ぬのは奴らだ」焼き直し風のボートでのチェイスも、だらだらと長いてしくどい。金をかけた見せ場でも編集でバッサリ切るべきなのに惜しくて切り捨てられなかった製作者の負け。そうした馬鹿馬鹿しさの圧巻は独裁者役の大統領の死に方だ。そもそも国を率いて軍隊を動かす存在という設定で砂漠に瀟洒なテントを張ってランチを摂る独裁者が、自分でヘリを操縦して悪ガキよろしく獲物は俺が仕留めるがごとくの展開。それ自体もうわけわからないと言うのに、反撃を受けて、約束通りに「あわゎ」となって爆死するシーンのために、わざわざヘリ一台を爆破する金銭感覚には唖然とするしかなかった。結局印象に残った映像は、タイトルバックのシークエンスから数分間。仕方なくそこをキャプチャしてここに掲げることにする。最初の一気に車に寄って行くシークエンスは、それがまさに直線的だからこそ新しい。これはダイレクトに広告表現に使える手法だと思う。また、監督名が出るあたりでの病人の家の入り口の映像は、アンドレ・ケルテスの写真を思わせた。この一瞬だけは今も脳裏にある。奥行きのある構図とカメラワーク。そして色彩も素晴らしく光と影が美しい。だが残念ながらこの映画、どう評価しても駄作の部類に入ると思う。

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