Sunday, February 05, 2006

TWISTED

霧に包まれたゴールデンゲートブリッジを絵画のように描きながら、そこを飛び行くカモメが濡れた眼球に映りこむオープニングは印象的。だが、はい私は警官ですとテキパキと逮捕して急にトーンダウン。そのまま酒場、男漁り、自宅、分析医の部屋とトーンは上がりもせず下がりもせず淡々と物語が続いていく。全体の30%までそのトーンのまま、映画の主題が見えないのはいかがなものか。いい人はいい人らしく。悪い奴は悪っぽく…というステロタイプな衣装や演技・演出に飽きてくる。前半のアンディ・ガルシアもその演出に潰されてしまっていて演技として移入しているはずの感情が伝わらない。主役のアシュリー・ジャッドも笑顔ばかり振りまく印象で抱える苦悩があることすら伝わらない。アシュリーは観客の目を釘づけに出来るほどの女優ではないが、とにかく親の死と物語に何か繋がりがありそうだと思わせるまでがあまりにも平凡すぎる。その平凡さが中盤から後半にかけての伏線だと言われたらそれまでだが、フィリップ・カウフマンのフィルムだと言うことで見始めたが中盤までで失敗かと思わせられ席を立ってしまう客がいても仕方がないだろう。まぁそれはいい。とにかく前半は退屈だ。相棒に真実を隠された事に対して階段の途中でアンディ・ガルシアが激怒する演技に気分を直し、もう少し見ようかと思い始める。だがその後も掴みがゆるくテンポが遅い。退屈さが抜けない。なぜだろうと考えた。おそらく映像的に弱いのだ。カメラアングルも切り替えも陳腐。惹きつけるものがない。アシュリーが気を失っていく時の演技も馬鹿馬鹿しいほどヘタだ。サウンドエフェクトが無ければ酔って目を回しているだけにしか見えないだろう。物語自体もどうしようもない。そんなオチだけでホントに終わらせるんか…と思っていたら本当に終わってしまった。収斂出来ない伏線は張るなということだな。

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