The Departed
ここにエントリーはしていないけれど、この映画の元となった「インファナル・アフェア」三部作は、全部見た。三本とも、とても良く出来た映画で、秀作と呼びたい出来だった。この「ディパーテッド」を見た後であるいまも正直そう思っている。この映画は放題もそのまんま「ディパーテッド」。直訳すれば「去る」ってことだけど、「インファナル・アフェア」と脚本として大きく変わったのは、そのタイトル通りに、ラストに皆いなくなるところだろう。んで、この映画、なんでこれがアカデミー賞を獲っちゃうのか、そこが僕にはよくわからない。ただ、マーク・ウォールバーグの助演男優賞は認める。彼はこの錚々たる面子の中では異色の出来だ。まぁ、色々意見はあるんだろうけど、僕は原作の方が全然心に残った。で、そんなことより、そもそも、こういう脚本をアジアから輸入してるってこと自体、ハリウッド映画の行き詰まりを露呈してる。シーズンごとに大規模な収益を約束しなきゃならないというビジネスモデルで言えば、いまやファッション業界のほうがずっと刺激的だし、実際のお金も動いていると思うんだけど、そういう「成功」を確実なものにしなきゃならないビジネス映画は、もう失敗が怖くて新しい脚本とか新人さんの作品とかに興行を賭けられないんだろう。さらに仕方ないから、リスクの少ないテレビドラマを延々と作ってDVDとかの二次ビジネスに展開していく。そういう事態に陥っているという視点で今のハリウッドを見ると、ホントに今の時代の感じだなぁとつくづく思わされる。供給という言葉は大嫌いだが、コンテンツそのものよりも、流通側の論理が優先されるビジネスモデル。それも、観客のために、という免罪符を突きつけて、焼き直しの繰り返しをしながら保身を続けつつ、まったく将来への投資を行わない業界…。まるで日本のオールドエコノミーメーカーの体質そのものを見ているようだ。誰かハッキリ言ってやれよと思うのだが、誰もそこを言えないほどに業界が村化しちゃったってことだろうか。この作品を見ながら、どうも作品自体の善し悪しよりも、そういうことに意識がずっと行ってしまう時間だった。あー、それから、ジャック・ニコルソンだけど、この人、ホントに今いくつなのって思った。資料では1937年生まれだから、御歳70歳。いやー、70になって「しゃぶってくれ」というセリフを吐く役が板についた感じで演じられるそのエネルギーには正直まいりましたという感じです。この、いつブチ切れるかわかんないっていうジャック自身のキャラとは違う演技をこれからは見たいものだ。
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