The assassination of Jesse James
邦題は「ジェシー・ジェームズの暗殺」。原題は「The Assassination of Jesse James by The Coward Robert Ford」と長い。なんで今頃になって拳銃連発とか銀行強盗とか、悪党が跋扈してるアメリカ西部開拓時代の映画なんだ、って感じだが、ブラッド・ピットが演じてるってことだけではなく、製作も手掛けているということは、それなりに心を打つ物語があるのだろうということで見てみた。物語はロブの見た世界で進んでいく。というか主役はロブだ。だけどこの映画、「ジェシー・ジェームズって言えばアメリカでは誰もが知ってる。さらにそれを殺した男も」っていうのを前提にして作られていて、どうにも入っていけなかった。こいつは愛された悪党なんだ…。日本だったら誰なんだろう…って思いながら映画を見る。でも何も思いつかない。ほとんどストーカーみたいなボブ・フォードの情けない人生をなぞる。うーん、そんな感じがどこかしんどい。歌っている曲をあまり知らずに足を踏み込んでしまった歌手のコンサートみたいな気分とも言えるし、そもそもイデオロギーや歴史が違うのに、そこを主軸に描かれた映画を見てしまったときの「イキそうでイケない」感じっていうか…楽しみたいのに楽しめなかったのが残念だった。ただ、この映画が持つ力は十分に感じた。また映像は素晴らしくきれいで驚いた。アンドリュー・ワイエスの絵の世界を映像にするとこういうタッチにすればいいのか、という驚きもあった。撮影も秀逸で構図、連続させる画面構成、ボケ足の使い方なども計算し尽されたものだった。さらに微細なところを画面の中でキチンと描いているからか、遠景に引いたときにも、そこにある空気の湿度のようなものまでを感じることができた。人間は自分の経験を引き出しながら眼で見たものを受け止める。そこに深みが生まれ、感動も埋め込める。それを忘れずに、丁寧に絵を紡いで行くという姿勢を学びたい。
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