Monday, December 26, 2005

SIGNS

馬鹿げた話をネタに映画を真面目に作るとこういう映画になるという意味で悪くない。前半の前フリは長すぎるしオチはベルネの宇宙戦争っぽい。見終わってみると実際に宇宙人を登場させる必要があったのかさえ疑問に思う。ここは田舎ですという表現もただ情景を見せるだけではなく登場人物たちの挙動や話しぶりにも演出が及んでいて手が込んでいる。メキシコシティ上空にUFOが現れたというテレビ中継を、深夜ソファに兄弟並んで見る場面で、奇跡について語り合うシーンが印象深い。メルギブソンは妻に先立たれた不器用な男を演じる上に元牧師としての純粋性も加味させ、受け入れ難い現実に苦悩する男の内面を、「誰も我々を見守ってはいない。人間は独りで生きている」という言葉と共に現す。彼は仕えて来た神に対して受けた仕打ちに怒りを抱いている。最も神に仕えていたはずの身であるのに…という自我と、拭いきれない悲しみを背負わされたことが彼の内面で一致できない。その納得の落ちどころ愛なわけだが、家族への愛情、つまり他に生かされている自分に気づくことによって自分の信じるものは変らないと知らされていく。この映画での言葉の数々は今の僕には重い意味を持って聞こえる。

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