Wednesday, February 01, 2006

FORBIDDEN PLANET

この映画を最初に観たのは今から34年前。僕は中学生だった。当時の僕は教育大付属中学の池田校舎に通っていたので、帰りに阪急宝塚線を途中下車して豊中に住んでいた叔母の家によく遊びに行っていた。ある夏の週末だったと思うが、従兄弟たちと待兼山の原っぱで夕方までキャッチボールをして遊び、食事をした後にテレビでこの映画を見たのだった。おそらく時間は夜。その時の強い印象はいまだに失せていない。目に見えない怪獣が襲ってくるところで鉄板のシールドをツメが破ったり研究室の入り口の分厚い鋼鉄の扉が熔けて崩れるシーンは怖く叔父の顔を見た覚えがある。二度目に見たのもテレビでの再放送だった。確か高校生だったと思うが、その時はアン・フランシスの輝きに目が釘付けになったのを覚えている。思春期そのものの反応だ。邦題は「禁断の惑星」。1956年公開だから昭和30年。公開時期に僕はまだ生まれていないほど古い映画だ。しかし優れた古典である。それもとびきりのと僕は言いたい。宇宙を舞台にした空想物語だが映画としての主題は憎悪と闘争という本能への警告であり、サイエンスフィクションとしても持つべきものをすべて兼ね備えている秀作と言える。この映画の中でシネスコープサイズの画面が最も効果を発揮しているクレル星人のパワーユニットのデザインはまるでバウハウスのポスターのようだし、博士の家のインテリアや宇宙船内部のセットもとびきりモダンに映る。さらにロビーのデザインはヒューマノイドデザインの出発点として永久不滅。日本は高度成長期真っ只中で東京オリンピック前である。その当時を思えばこの映画がいかにクールな世界観を描いたかは想像に易い。できることなら黄ばみを修正した色調のものを映画館に座ってシネマスコープの大画面でもう一度観たい映画だ。

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