Wednesday, December 28, 2005

PIRATES OF THE CARIBBEAN

ジョニー・ディップが素晴らしい役者である事は分っていた。だが彼の出演作には縁がなく、特に93年にフェイ・ダナウェイと共演した「アリゾナ・ドリーム」が決定的に観に堪えず、以来彼を観るのをやめてしまった。気がつくと10年以上も彼の演技に触れて来なかったわけだから恐ろしい。しかし「BLOW」でガラリと印象が変わった。この作品も元々はブラッカイマー繋がりで観ることになったわけだが、ほのかに期待したジョニーは見事な演技で裏切らなかった。作品は「お子様向けおとぎ話で稼ぐ映画を作るとはこういうもの」というお手本であった。必要最小限のポイントをびしっと押さえた貴族、庶民、軍人、海賊という配分。悪賢い憎まれ役と間抜けな善人たち。月光に照らされると浮かび上がる腐り果てた亡霊の身体という見所。身分を越えた恋心。随所に盛られた笑いとドタバタ。それらどれもが、わかりやすく子供が喜ぶ設定で、その贅肉の削ぎ方に泣けてくる。ジョニー・ディップは亡霊でもあるジャック・スパロウ船長を演じるわけだが、その台詞回しや挙動まで子供たちに受けること間違いなし。さらに元々美形のオーランド・ブルームを生真面目な男の役に縛りつけて美しく純粋という側面を一層純化させた分、ディップの生臭さが一層際立つ結果となっている。このへんは計算づくなのだろうが、そう考えると本当に映画製作と言うのは奥が深い。この夏続編が公開され、すでに第三弾も製作中ということで、ばっちりお金を稼ぐブラッカイマーの真骨頂爆裂中なわけだが彼の稼ぐ手法にそろそろうんざり。

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