Tuesday, January 17, 2006

KING ARTHUR

現在のハリウッド的映画というパターンを学習するために、とにかくブラッカイマーの映画は全部見ようと思っている。その一環でこの作品も観ることにした。主役は今ではもう見れない「BMW Films」でおなじみのクライブ・オーウェン。彼はボーンアイデンテティなどでの印象からか、どこか脇役的なイメージがあるが、僕は彼の無言の演技が好きだ。この作品での彼は聡明さを保ちながら力強さを持った主人公を見事に演じている。作品はブラッカイマー好みの叙事詩的な味付けに満ちている。美術は素晴らしい。映像は幻想的で美しいし、物語にも引き込まれる。砦の城壁は実際に建てた巨大なセットらしいのだが引きの絵では汚れが弱く逆にCGに見えてしまう。そんな細かな部分はとりあえず脇に置き、伝説的側面からではなく、人間的な側面から騎士道に触れられる映画だった。そこには武士道に通ずるものがある。しかし日本人にとってアーサー王という人物や騎士という存在は、欧米人に較べると知識も思い入れも少ないために物語の背景が良く分からないまま盛り上がっていく映画について行かされている感じがする。見終わってみると英国が抱える根本的な民族意識が少し理解できた気になった。島国にはそれぞれ独自の価値観を持つ土着民族がいてあたりまえ。その点は日本も同じである。良い映画だが最後に描かれる結婚式は明らかに蛇足と思われる。変にハリウッド的で作品の質を落としている。火葬の場面から天を仰ぐアーサーの姿から、駆け抜ける姿が本当に美しい馬の映像に繋いで締めくくるべきだったと僕は思う。

0 Comments:

Post a Comment

<< Home