Wednesday, October 01, 2008

The Kingdom

うぉっと、ずいぶんここを更新してなかったってことに、いま気づいたわ。まぁそれはいいか。この一年、まったく映画に触れなかったわけではなく、飛行機の中で新作見るとか、BSとかCSとかで見るとか(最近のNHKは名作放送が素晴らしい)で、それなりに映画は見てきたわけで、自分の中に残っているものはある。ただそれをココに書き記さなかっただけってことだ。思い出したら書き足すようにしようと思うし、IMDBのほうには見たものを出来る限り思い出して更新しておこうとは思ってる。

さて、この映画。邦題は「キングダム 見えざる敵」。だけど配役にジェイミー・フォックスが出ていなかったら、まず見なかっただろう。そもそもこの映画のテーマと自分とはあまりにかけ離れていて、興味そのものも湧かないわけだ。正直、自分は日本に住んでいて平和ボケと世界中から言われても仕方ないぐらいに平和にどっぷり浸かっていて、すぐそばに危機があるよっていうイマジネーションすら出来ないのが実情。危機と言う前に、危険ってことすら忘れて暮らしてるわけで、それはそれで戦後の日本が作り上げてきた国家としての持てる力なのかもしれないが、徳川藩制の鎖国によって、一度は平和ボケに陥った自分たちの祖先のように、情報の読解力が弱まり、蝕むように平和・楽観主義者へと自分たちを追いやっていったことと重なるように思えてならない。まぁ、簡単に言えば、少々高くてもガソリンスタンドに行けば石油は買えるし、ガズも電気も水道も「カネ」さえ出せばいくらでも供給してもらえる日常に僕たちは暮らしている。もしそれが止まれば、それを供給している「企業」に文句を言えば気が済む。実際、東京電力の工事ミスで突然停電ってのが起こったりするけど、原油価格が高騰というニュースを耳にしても、それを危機という緊張に繋がらない。日本は、それを失うということへの微かな実感すら持たないが、そうなったらヤバイという恐怖を少なくともアメリカは常に強く認識してる。そういう感じで、目線としてはアメリカの掲げる正義側に立って作られている映画なわけだけれど、物語を追いながら、その逆、つまりここで描かれる「敵」の視線からするとどうなのか…というところに意識が向くようにこの映画は作られている。しかし悲しいかな平和ボケの僕にはそれを想像することがまったく出来ない。資本主義側から見た場合、貧困と教育の低さが根底にあり、宗教の違いと相まって、そこから生まれてくる打開策がテロとなっている、と教えられてきたが、真実はどうなのか。殺し合いの連鎖はどこから来たのかと言えば、それは資本主義の「強欲」が出発点なのではないか…。互いの利益のバランスの上に国家の存在というのは認可されると歴史は示しているではないか…。北朝鮮はそれを最大限に利用しているじゃないか…。そんなことを考えながらこの映画を見ていた。国際社会の裏側をもっと勉強しないとダメだな。蛇足だけどイントロのところのグラフィック処理を多く含んだ状況説明のシークエンスは非常に良くできていると思った。こういう仕事が出来たらいいな。

●11月22日に追記:ハリウッドの大作から、ドラえもんの劇場版まで、まったく手を抜かずに丁寧に所感を述べられる得がたい映画評論に、心底敬服している前田有一さんの「超映画批評」に、この映画が描かれた背景の解説があった。アメリカがイラクでぐずぐずしてる理由や、サウジの事情など、すっごく勉強になった。前田さん、ありがとうございます。

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