Tuesday, January 03, 2006

Howl's Moving Castle

邦題は「ハウルの動く城」。温泉宿の部屋にDVDプレイヤーがありフロントで借りてソファに座って観た。物語が進むに連れて、なんでこんな沢山の登場人物が出てくるんだろうとか、そもそもどういう背景で戦争が起こっているのかなど、次々に繰り広げられる突飛な展開が過ぎねぇかなぁと思っていた。それは見終わってから実はダイアナ・ウィン・ジョーンズという原作者がいて、彼女の書いた話を2時間の映画に押し込めたからだとわかった。これが原作までジブリであれば、家族揃って大人も子供も楽しんで「どきどきしたね」とか「面白かった」という事になるのだろう。正直言って「風の谷にナウシカ」や「隣のトトロ」が持っていた直接訴えかけてくるメッセージ力はこの映画にはない。「千と千尋」では、話がかなり複雑化していたが、ファンタジーから現代に戻る点を描いたので映画としての落とし処は押えていた。それに較べてこの映画は雑然としすぎていると言わざるを得ない。物語の展開も主軸が弱く数多くの枝葉との関係が曖昧となってしまっている。もし小さな子供とこれを見たら「どうして」と矢継ぎ早に質問攻めにあうんだろうけれど僕はたぶん答えられない。またラストに描かれるように当初から「愛」を主題に置いたはずだが要素の編込みを複雑にしてしまったせいで、そのメッセージさえも突飛に思うほどだ。城が動くから仕方ないのかもしれないが、扉を開けると常に世界観が変り、人々が殺しあう阿鼻叫喚の世界と清浄で平和な世界の繋がりがどんどん複雑になっていくように思った。普通の映画的手法から言えば完全に逆である。無数の枝葉を持った物語だが軸がしっかりしているファンタジー映画として「ロードオブザリング」や「ネバーエンディングストーリー」を思い出した。一方、絵の描き込まれ方やキャラクター作りはさすがジブリと言えるだろう。僕は「ヒン」としか鳴かないヒンという犬が気に入った。後でこの「ヒン」という鳴き声を原田大二郎が吹き替えしてると知り大笑いしながら余計に愛着を覚えた。ちなみに日本のオフィシャルサイトは映画そのものの内容が薄くて子供っぽい。アメリカのオフィシャルサイトはディズニーが作っているだけあってトレイラやギャラリーも充実していてさすがに質を感じさせる。

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