Friday, November 18, 2005

THE LIFE OF DAVID GALE

まったくもって難しい問題をテーマに据えたものだ。難しいという意味は誰が正しくて誰が悪者かという定義が出来にくい話を物語の主軸に据えたことである。死刑そのものが物語のテーマとなっているが、法が人を殺す権利があるのかというような社会悪の側面でもなく、もう一度考えてください…という語りかけも主ではなく、死刑囚も人間ですというようなプロパガンダに立つでもなく、死刑囚となった犯罪者をステロタイプに分析させるわけでもなく、冤罪の悲哀を描き出すわけでもない。ドラマは主人公のデヴィッド・ゲイルが自ら演出したものであるから先に書いたような死刑がどうだというところはあくまで伏線としてしか存在し得ない。ジャーナリストをそこに位置させて真実を観客とともに追いかけていくのは映画として成立させるために脚本で練られたものだろう。ここにあるのは人生に生き詰まった男と女が繰り広げる悲哀の人生ドラマ。人間はこういう友情の持ち方が出来る生き物だと言いたいのだろうか。

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